二駅分歩いて帰ろうと、時々手を合わせる神社でご挨拶した後のこと。
神社前の小さな広場の片隅に座り込んでいる七十くらいの方がいました。
「どうしました」 と近づくと、
「立ち上がれなくて...」
先週の合気道の稽古でできるだけ力を抜く教えが効いたのか、無事、起こすことができました。
聞けば、そこのご近所の方で、誰に言われるでもなく、ずいぶん前から神社で剪定された枝や葉を処分されてきたそう。
「今日は呑んでから始めちゃって。あんなこと初めてなんだよ」
「そりゃ大変でしたねえ」
なんて話しながらゴミ袋をまとめたり、集積場の近くまで運んだり。
「ほら、その角んところの家に住んでるんだよ」
それはかれこれ十数年前の雨の日、現金が入った封筒を落としたことに気づかなかった私を呼び止めて、封筒を手渡してくれた方のお家。呼び止めてくれたその人が目の前にいました。 時を経てその方にお礼を伝えることができるなんて、偶然の純度の高さに驚かされました。
神様の粋な計らいに貼ったレーベルは「セレンディピティ」。
残念ながら月は隠れていたものの、土のようないい香りのする夜でした。
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