2011/10/16

夢か現か



実家に急用があり、静岡の清水に来ています。

普段の気密性の高い家と違って、実家はものが存在する音を放っています。

週末の夜、車が家路を急ぐ音。
何種類もの虫の音。
庭を散歩するどこぞの猫が 草花を掻き分ける忍足。
葉を落とす準備ができた木々が奏でる秋の音。

色づき始めた櫻の枝葉越しに月を眺めながら、秋風と一献交わそうなんて粋狂、あの頃はこれっぽっちも持ち合わせていなかった。

そう言えば幼い頃見た一番怖い夢…

庭を探索していると、朽ち果てそうな小さなほこらがあった。
背丈ほどある雑草を掻き分けながら、恐る恐るほこらへ近づくと…
ほこらの中から、こちらを射るように光る目の玉がふたつ。
まじないにかけられたように、更に足を進めると…
白い狐が、ほこらから透き通るように現れて…
小さな赤い、そして長い舌でわたしをひと舐め…
金縛りにあったように身動きが取れなくなり…
どれだけ時間が経ったのだろう…
遠くから「カットォォ」の声。
何かの撮影のようだけど、ショックの余り事態が把握できない…

そんな夢。
随分長い間、その夢に脅かされていたな。

実家にいるのに、実家が懐かしい更待月の夜のこと。