2012/01/10

♪ 山の奥の薬屋さん



芝桜の上で歌ったころは、モサモサする毛なんていらないほど暖かかったよね、お父さん。

小寒の日に大きな椋鳥や百舌が何羽もやってきて、ここいらの木の実をごっそり食べ尽くしてしまったから、どんぐりひとつ見つけるのも難儀だけれど、お父さんが「おはははは」と喜ぶ顔を思ったら何時間だって、たとい逢魔が時を過ぎたって暫くは探していられるんだ。

そこは、
お父さんのお母さんの側は温かいですか。
袂を引いて離さない幼な子みたいに、お父さんはお父さんのお母さんの脇にぎゅっと寄り添って、今日も山の夢を見ているのですか。

お父さんとの邂逅の日を思いながら、今日もどんぐりを探してきます。
大喜びしてくれるほどたくさんたくさん集められたら、お父さんが本当はそうであったように、まあるくやさしい心を持てるようになるかしら。
悪戯ものがこの場所を無駄に荒らさないように、お空から祈っていてくださいね。