2013/08/07

麒麟をのせて



朝6時52分に新月を迎えました。

倒壊された城壁の上では勇士が楽器を掲げ、高らかにファンファーレを響かせています。

廃屋にそっと身を潜めていた女子たちは、きっとこの音を聞いて、久方ぶりに朝日を浴びて、ワルツの調べを待つでしょう。

私はどんな泥濘にも足を取られない靴の紐を結び、忍冬の花を帽子に付け、ひときれのパン、ナイフ、ランプかばんにつめこんで、森を抜け、山を越え、海を渡って、きっとかの地へ辿り着きます。