2014/01/26

監督は宙を目指す



先週末、関係者試写会を終えた短編映画『An American Piano』。

試写会後、衣装合わせや二日間の撮影では知りえなかった関係者の一面を、打上げをした串焼き屋さんで垣間見ることができました。

Paul Leeming(ポール・リーミング)監督についても然り。

バタバタと試写会を迎える日々の中、何度かTwitterで目にした監督の写真について聞きました。

私 「宇宙船の中で、無重力遊泳をしているような写真は何ですか?」
監 「宇宙に行く選考資料だよ」
私 「またまた、冗談のスケール大きすぎます」
監 「いや、本当だよ^ ^」
私 「・・・え?」

宇宙開発事業に従事する人を一般公募した団体の一次審査が動画による自己プロモーションで、私が目にした写真はその一コマだったと。
監督は今の仕事に就く前は、オーストラリアの軍で航空機や軍艦(でしょうか)の操縦経験があり、その後、航空会社で旅客機のパイロットをされていたと。

私は驚いて、串焼き屋の椅子に座ったまま、成層圏を抜けました..

一次審査を通過し、「次は健康チェック」と話す監督に酸欠になりながら聞きました。
「宇宙でお仕事をされる期間って、どのくらいなんですか」
「残りの人生、ずっとだよ。片道分しか燃料を積んでいかないから」

成層圏から月に到達した私は、月面に串焼きの串で書きました..
<なんですと!?>

ロケット(なんて子供っぽい言葉を使ったかどうかも、驚きで覚えていません)に積載するものの中で、片道分の燃料を積まないということは、ロケットの構造や予算にも大きく影響するそうで、そもそも宇宙へ行くことが大きな夢であった監督にとっては、地球に戻ることは夢に含まれていないと、サワーのグラスを傾けながらポールは微笑みました。
ロケットへは定期的に食料や燃料が飛ばされてくるんだよ、と。
人生は短いこと、その時にできること、心を大きく動かされるものに最善を尽くしていくことを考えれば、自分にとっては自然な選択なんだ、と。

驚きの余り命綱が切れて、宇宙を彷徨ったような心地になっている場合ではありません。
ヒュルヒュルという効果音と共に現実の串焼き屋へ戻った私は、それから暫くの間、監督の夢に耳を傾けながら、自分の夢のスケールを引き上げられていました。

Thank you, Paul, for sharing your dream. 話してくれてありがとう、ポール。

Paul Leeming監督作『An American Piano』は、世界の映画祭に向けて打ち上げられました。

朗報が入りましたら、追ってご報告いたします。


Paul Leeming - Mars One Astronaut Candidate

An American Piano IMDb page