2019/03/27

山本英特集上映が終わりました


昨日326日、ポレポレ東中野で上映された山本英特別作品の上映へお越しくださった皆様、夜遅く、貴重なお時間をいただきありがとうございました。

お客様からの質疑応答の中で感想をお聞きし、気付かなかった視点から作品を見たり、自分の思いと照らし合わせたりすることができました。

『回転 サイクリング』をメルヘンだと仰った方がいらっしゃいました。私も出演されたお二人が調和が取れた速度と距離感で、メビウスの輪の上をエアロバイクで回っているような錯覚を持ちました。

『グッド・アフタヌーン』で登場人物同士の距離感を指摘された方のお話を聞いたことで、役のそれぞれを例えた植木鉢の観葉植物が庭の植木ではなかった理由が解ったように思いました。植物という同じ括りで、根を覆う土に然程の違いはなくても、植木鉢は互いを隔て、(根を)相容れないものとしています。血の繋がりのある家族でさえ個々であり、家族によってその在り方は異なります。

個々の思いが錯綜し、強風の中で倒れそうになるも寄り合って眠りにつく妹家族。凪のような表面とは裏腹に、閉じた扉の中(施錠していたな)に逃げる夫と本心を伝えずに偽りを装う妻、きっとそこから早々に巣立つ娘のいる姉家族。植木鉢の底の穴から伸びた根で互いに絡んでいたような祖父母。

扉を跨ぐ、という表現をされたお客様の言葉は帰り道に考えていたことのキーワードでした。

お客様のご意見を、その方の声で話し方でお聞きできる上映を大変有難く思います。ありがとうございました。

短編三部作の上映は昨夜で終わりましたが、『小さな声で囁いて』の上映は3/29(金)まで(連日21時~)、あと3回ございます。
どうぞポレポレ東中野に足をお運びください。