2011/10/29

覆水ボボンガ盆



どうしてもその役に、その感情がほしくて、密閉したその瓶を開けた。

静かに瓶の中に佇んでいたそれの、目で見えないものを感じた途端、それはどろどろと瓶から溢れ出し、足元から徐々にわたしを覆いはじめた。

抵抗しても、鼻から口から目元から体内に入り込むそれは、わたしを侵食した。
六感を冴えさせ、乱心させた。

その役を演じ終えて、再度それを体内から一掃しようと思って途方に暮れた。

何ヶ月かかって何本の涙壺を使ったか、もう忘れた?


はぁー。
もう、野となれ山となれ。
これでいいのだ、ボンボンバカボンなのだ。